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ミハイル・リッキー


ミハイル・リッキー~超絶技巧練習曲を聴いて

やっとのこと、原稿を終わらせ、胃の痛みに耐えかねながら、hpの更新をしている。ゆっくり寝ていればよいものを、賢い選択をしなかった。先のスターダストといい、10月の半ばに観ていたのに書けずじまい。もう半月も過ぎての掲載だ。少しでも元気な内に記憶がちゃんとしている内に書かねば^^”

先月友人からミハイル・リッキーのリストの超絶技巧練習曲とアファナシェフのシューベルトのソナタのCDを送ってもらった。あらためて本日、久々にまた聴き入った。

クラシック音楽ファンの方でも、そう多くは知られていないロシアの名ピアニスト、ミハイル・リッキーは、イリーナ・メジューェワと共にグネーシン音楽院でトロップ教授に師事している。国内ではコロムビアレコード社、若林工房から数枚のCDが発売になっている。その彼が2000年にモスクワ音楽院でのライブ・コンサートのCDが今回届いた作品だ。

聴いてびっくり、見てビックリはラカトシュだが、この演奏あまりにも凄くてある種ピアノ・テクニックの限界点を聴くような演奏である。ホントにスゴイ。単なる技術的なレベルの頂点ということだけではなく、音楽的にもスリリングなまでの魅力的なフレーズの歌い方が、驚異的な技巧の中に花咲くから驚きを隠せない。まさに衝撃的。それにしても、人間の指がこんなにも動くのか?そう言ったら乱暴すぎるか。

解説にも記載が有ったが、幾分同じような感想を抱く。小生、ポリーニのショパンのエチュードを初めて聴いた時(LP、CD、ライブも)はハンマーで頭を殴られて立てずじまいだった。吉田先生が「この上に何を望もうか」とレコ芸に掲載していたのをよく覚えている。それがLPのタスキになった。ラザール・ベルマンのリストもメロディアから出たLPを聴いた時、音が何故にこんなに多いのだろうと思わせた最初のピアニストだった。
それはさて置き、このCDの出現で少なくともこの「超絶技巧練習曲」の代名詞はミハイル・リッキーの手に渡ったといえるだろう。まずは聴いてみてほしい。たぶん今までのこの曲に対する思い、その概念が吹き飛ぶ?いや、肯定されると真に思う。
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録音:2000年9月15日
モスクワ音楽院小ホールにおけるライヴ録音

リスト:超絶技巧練習曲集 S.139 (全12曲)

「・・・ここにあるのは、あのベルマンの衝撃はそのままに、さらに音楽に深く踏み込み、この作品の美しさを際立たせたまったく新しいスタイルの『超絶技巧練習曲』なのだ・・・」
(田中 泰/ライナーノートより)




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